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HaruP Works

シンセサイザーやボーカロイドで制作したオリジナル音楽をこっそり紹介

 

シンセの神様・冨田勲の機材(TOMITA Memorial Museum)レポ1 

さる11月4日~6日にかけて「楽器フェア2016」が開催されました。

様々なブログで、会場の様子はレポはされていますのでそちらに譲るとして、私は世界的なシンセサイザー・アーティストである故・冨田勲さんの往年の機材を展示したTOMITA Memorial Museumについてレポートをしたいと思います。

ステージに並べられた冨田勲さんが愛用した機材の数々。シンセの神様が実際に使用していた機材群に感激!

TOMITA Memorial Museum stage

ヴィンテージものの機材の一部。冨田さんの手による自作機や、ガリなどの雑音発生時に自らパーツ交換して使っておられた各種ボリュームの可変抵抗器が展示されていて、とっても貴重なものばかり。

TOMITA Memorial Museum vintage instruments


●「世界のトミタ・サウンド」を支えた機材が一堂に

 今回の特別展で展示された機材のほぼ全てが実際に冨田さんが使用されていた機材であったことです。ステージでは冨田さんとご縁があった日本シンセサイザープログラマー協会の面々と協会の会長である松武秀樹さんらが、機材に関する逸話を語られていました。

写真1:堂々たる威容Moog[System 55]を前に説明する松武秀樹さん

Tomita Mus moog with Matsutake

 私はてっきり冨田さんの機材は古くなって使わなくなっておられても、所有者である冨田さんの管理で保管しているのかと思っておりましたところ、冨田さんとご縁がある信頼のおける方々に貸与という形で日本全国に点在していたとのこと。なので、写真2にもあるようにそれぞれの貸出先に冨田さん自らがサインをして預けていらっしゃたようです。

写真2:TOTOやヴァンゲリスの名曲で使われた名機ヤマハ[CS-80] 冨田さんのサイン付き

Tomitas CS-80 

 実は、少し残念だったのが、冨田さんのアイコンともいえる代表的機材であるMoogのタンス型の大型シンセ(写真1:Moog Synthesizer System 55)は、冨田さんの所有のものではなく、この日のために動いている同型機を松武さんがご用意されたようです。実際に音を出しながら説明があったのですが、発振器であるオシレータ(VCO)の中身の回路は特別仕様となっていて、冨田さんが初期の頃の作品で多様されたMoog ModularIIIpだそうです(写真3)

写真3:在りし日の冨田さんと後ろのシンセが愛機ModularIIIp 

f52f05b020b1df.jpg



●往年のリアルMoogサウンドの凄まじさ

 会場は至る所で各企業のステージでデモが催されていたので、演奏で鳴らされた音がカオスに溢れている凄まじい喧噪状態でした。そんななか、TOMITA Memorial Museumのステージで、松武さんがMoogの実機の操作を交え冨田さんがどのような音作りをしていたか、フィルターを共振させ鳴らしながら解説されていましたが、会場全体の喧騒をものともせず、スーっと耳に飛び込んでくるMoogシンセ・サウンドの生々しさにびっくりしました。
 
 純粋な電子回路から出力されるアナログ・サウンドが、音圧がありながらも周波数や倍音の構成が人間の耳にとっても馴染むような特性になっているためでしょうか?
 松武さんの説明では、Moogのアナログ回路で作られた音は、デジタルにより演算で合成された音のように綺麗で安定的な波形ではなく、オシロスコープで解析すると明らかに波形が歪んで不安定な揺らぎをしているとのこと。技術者にとっては、むしろ取り除きたかったはずのこれらの波形の歪や不安定さが、実際の音になって出てくると実に耳に心地良いものになっているのでしょう。
 
 当日、図らずもアナログとデジタルの出音の違いを、同じ喧噪の環境で体験できました。別のステージで、たまたまほぼ同じようなPAシステムで行われたデモでは、最新鋭のフルデジタルによるシンセサウンドが鳴らされていました。音程が高くなるにつれ、耳がキンキン痛くなり、音場感や音圧も平面的な音の塊のような感じがしてしまいました。ところが、そのようなことがTOMITA Memorial Museumのステージで出された往年のMoog System 55の音では感じるようなことはなく、どんなに音が高くなっていっても図太く立体感を感じる素晴らしい電子音であったのです。

 おそらくこのあたりの違いが、フルデジタルシンセが普及しても、なお失われることがない本物のアナログ回路によるシンセサウンドの魅力であると改めて実感できた次第です。

 さて、続きは、その2にて、レジェンドとなった作品で聴かれる世界のトミタサウンドを冨田さんが操作した機材でどうやって創ってきたのか、その秘密を引き続きレポをしてみたいと思います。

<参考リンク>
●シンセサイザーの大家「冨田勲」御大への追悼文
●世界的シンセサイザー奏者の冨田勲氏が死去
●シンセサイザー界の巨匠「冨田勲」師考
●シンセ界の巨匠「冨田勲」と初音ミクとの世界初演!!!
●冨田勲と初音ミク~時空を超えたアーティストの饗宴~
●シンセ界の巨匠「冨田勲」と「初音ミク」のコラボ実現の秘密とは!
●初音ミクがアーティストとして登場!?YahooのPR広告企画が面白そう
 
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Category: シンセサイザー

Thread: DTM、宅録、ミックス、レコーディング、機材

Janre: 音楽

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コメント

おお、うれしいレポ第1弾!!

私は機材そのものはじっくり拝見できたものの、イベントをあまり見る状況になく、唯一松武さんがアナログシーケンサーを重低音オシレーターとして使用されるところだけを見ました。直流の音がスピーカーを吹っ飛ばしそうではらはらどきどき大迫力でした。かつて同じことをSystem-100(100Mではない)のアナログシーケンサーでやったことありますが、moogの方が断然音がすげー、音の迫力が全然違いますね。
続編を心待ちにしております。

nemo #FwR4mFsA | URL | 2016/11/30 06:24 [edit]

Nemoさん

>松武さんがアナログシーケンサーを重低音オシレーターとして使用されるところだけを見ました。直流の音がスピーカーを吹っ飛ばしそうではらはらどきどき大迫力

おお、これは是非現場で体験したかった!

アルバム「宇宙幻想」の一番最初に聴ける地響きのような超重低音は、どうやって作ってるんだろうと不思議だったのですが、実はアナログシーケンサーを使って作った音と聴いて驚愕とともに、よく思いつくもんだと、さすがシンセの神様と感心したものです。
これは貴重なデモですねぇ。
しばらく忙しくて、なかなかレポがまとまりませんが、続きを乞うご期待のほどを!

HaruP #9yJV7Jf. | URL | 2016/12/03 23:04 [edit]

>アルバム「宇宙幻想」の一番最初に聴ける地響きのような超重低音

あの音、実は高校時代に自作したことがあります。
まだ貧乏でシンセが買えなかったので、ダブルデッキラジカセにて、使い古したカセットテープ2本でひたすらホワイトノイズをオーバーダビングし、しかも搭載されているグライコで一番下の周波帯だけを強調し、あとはカットするという、ローパスフィルターの真似ごとを果てしなく繰り返しピンポン録音し続けたら、あの音ができました。ものすげー地鳴りのような音で、今の DAW 環境では、かえってつくりにくい音です。いやー、あの当時は工夫してたなぁw

nemo #FwR4mFsA | URL | 2016/12/04 19:42 [edit]

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